犬吠を詠んだ歌人の紹介 犬吠埼は昔から多くの文人歌人に心の故郷として親しまれてきた。中でも若山牧水 は大正八年一月一日から三日まで愛弟子の細野春翠とこの地を訪れ岬の先端に そびえる白亜の灯台に打ち寄せる太平洋の怒濤に歌心をそそられて多くの歌を残し ている。 犬吠埼にて ひさしくも見ざりしかもと遠く来てけふ見る海は荒れすさびたり 遠く来てこよひ宿れる海岸のぬくとき夜半を雨降りそそぐ まともなる海より昇る朝の日に机のちりのあらはなるかな 若山牧水 宮崎県生 名は繁 近代歌壇の巨人 昭和三年九月十七日沼津で没した。 年四十四 銚子市 |